製造プロセスからのデータ転送に関する知識

データ分析の最初にして最大の要点は、工程データを収集する目的を定義することです。工程の品質問題を理解し、データを収集する理由、必要なデータ、データを収集する量と頻度を明確に定義する必要があります。明確な目的のないまま収集されたデータには何の価値もありません。

製造工程では多くの製造、検査設備が使用されています。一部の設備では、工程名、製品番号、検査特性、シリアル番号を含む詳細なデータを出力する一方、簡易ゲージ等は測定データしか出力できない場合もあります。手書きのアナログデータしか取得できないケースすらあり得ます。データ管理に必要な全情報が必ずしもデジタルデータ化されているとは限らないのです。データ収集を開始する前に、不足している情報をどのように補完するかを予め検討する事が重要です。


第三に、多くの設備が稼働中でも、定期メンテナンスのために特定の設備のデータ収集を停止しなければならない場合があります。また特定の部品製造や検査特性が廃止されたため、それらのデータ収集が不要となる事もあります。自動データ収集を開始した後、予想以上にデータ収集設定を変更する必要があることに気づかれると思います。自動データ収集とは、稼働させたら何もしなくて良いという意味ではありません。生産や検査の工程が変更されたら、それに応じてデータ収集条件も変更する必要があるのです。そうしなければ直ぐにデータは工程の状態を反映できなくなります。

一般的にIT 部門がデータ収集システムを構築、設定を担当しますが、稼働後に発生するこれらの問題を予見できるのは工程管理者であるデータユーザー側なのです。

長期にわたって安定したデータ活用ができる仕組みを構築する為には多くの経験値と製造とITの両方を理解し、橋渡しができるマネージャの存在が必要不可欠です。