
ソフトウェアベンダーやSIerが語らない不都合な真実:
「なぜ可視化するのか?」
~品質データ基盤構築でPOC(概念実証)から先へ進めない本当の理由~
「検査、計測データの可視化で効率化」
品質管理ソフトの広告で頻繁に見かける定番セールストークです。
「品質データを可視化すれば問題点が発見できます。」
「可視化で意思決定が迅速になります。」
「可視化で業務を効率化できます。」
ソフトウェアベンダーやSIerの言う通り、可視化すれば本当に業務効率化や課題の解決ができるのでしょうか?
可視化で問題が解決するなら、多くの企業がPOCから抜け出せないという事態にはならないはずです。
量産製造業における品質データ可視化は、「誰の為の可視化」、「何の為の可視化」かを明確に
定義できなければ品質問題の解決や業務の効率化は望めません。
可視化の罠
検査や測定データの可視化といえば、ライングラフ、ヒストグラム、管理図など定番の図表があります。
近年はPCの高速化やAIの登場で新しい手法が登場しつつありますが、品質の世界には規格というやっかいな「お作法」があります。
自分(自社)だけが分かる手法は、対外的に説明できないため、使えません。可視化は「誰か」が視覚化された情報を見て品質を判断することです。
つまり、管理図やヒストグラムを見ながら品質を判断できる知識が必要です。
そこで、統計学を交えてグラフや表の見方をトレーニングするわけですが、主担当の1~2名程度を除き、大抵は数か月でその内容は忘れ去られてしまいます。実際の現場で私たちが直面してきた現実もまさにこの通りです。
では、可視化は役に立たないのかというと、そうではありません。
「誰のための可視化か、何のための可視化か?」を明確に設定できれば強力な武器になります。
可視化の目的の一つは問題点の特定です。量産製造業では多くの工程が機械化・自動化されています。
つまり可視化しなければならないのは、不良率や工程能力などのざっくりした情報だけではなく、「どの工程、どの設備で、いつ、どんな条件で問題が発生しているか?」という具体的な情報です。ここまで噛み砕いた可視化をすれば、統計分析の知識に関係なく誰もが問題点を特定できます。
しかし、一般的な品質データ分析ソフトはせいぜい部品名と検査特性(直径、温度、圧力など)が分かる程度で、「いつ、どの工程で、どんな状況で公差外や管理値外が発生したか。」という製造コンテキスト(製造の背景情報)がありません。したがって、製造時のデータと照合しない限り、問題をピンポイントで特定できないのが実情です。
つまり、「誰=一般作業者」の場合、品質データは製造コンテキスト(製造の背景情報)とセットになって可視化されなければ、「何のため=問題点を発見するため」を実現できないのです。

管理項目数の罠
POCの段階では少量のデータで検証を行います。前述したような製造コンテキストを伴った品質データがあれば、可視化されたデータから工程のさまざまな品質情報を読み取ることができます。
現場の作業者レベルの『可視化の罠』をクリアしても、品質管理部門には次なる壁が立ちはだかります。それは膨大な管理項目数です。
実際の工程では大量の「可視化」されたデータを監視する必要があります。
機械、センサー、測定機器などあらゆる製造設備がデジタル化され、IoT技術の進歩で集積されるデータは増える一方です。
ある自動車メーカーでは、数人の品質管理チームで数千~数万の品質特性を管理しています。
公差外や管理値外はグラフを見れば一目瞭然ですが、工程の安定性や品質の変化点については一見しただけでは分かりません。工程能力を計算し、管理図を見てデータポイントの推移に品質変化を示すパターンが出ていないか1つずつ確認する必要があります。
前述した「製造コンテキストを伴った可視化」ができていても、人が目視で処理できる特性数には限界があります。
自動化された生産工程の場合、品質の判断は残業による後追いができません。次工程が始まるまでに品質状態を判断しなければ、問題のあるロットがそのまま次工程へ流れてしまうからです。
つまり、正しく「可視化」できたとしても「人の情報処理速度」がボトルネックとなります。
BIツールを使った品質ダッシュボードの内製で失敗する理由の一つが、この「人の情報処理速度」の見落としです。
ここで、もう一度問題を整理してみます。
品質データの分析は、「お作法」が決まっていると述べました。
具体的には、
①公差外が発生していないか?
②管理図に管理値外が発生していないか?
③工程能力値は安定しているか?
④ラン(連)やトレンド(傾向)などの品質変化点が発生していないか?
などが挙げられます。これらの分析作業を1特性ごとに繰り返し行います。
ここでハッキリしているのは、「分析とはどのような作業か」という定義ができていること、そして管理特性の数だけ素早く繰り返し行う作業であるという点です。これこそコンピュータが最も得意とする「定型作業の繰り返し」です。
つまり、どのような品質状態を注視すべきかを明確に定義できていれば、可視化による人の判断よりもコンピュータの判断の方が圧倒的に早いということです。
iNDEQSの品質ダッシュボードであるi-Boardは、この作業に特化しています。一般的なダッシュボードのように、ただサマリーを表示するだけではなく、
「〇時〇分、〇〇工程の、設備〇号機で加工された、特性XXXに△△という問題が発生しています。」というクリティカルな情報のみを集約して表示します。
問題点の発見はコンピュータに任せ、人は問題の対処に集中できます。この方法であれば少人数で多くの管理特性を監視することが可能です。
可視化の「誰のため」を「多くの管理特性を監視する少人数チームのため」という極限まで焦点を絞った「可視化」を体現するのがiNDEQSのi-Boardです。

ユーザフレンドリー + コンピュータフレンドリー
i-Boardは品質アラートが発生した場合、担当者へメール通知する機能を備えています。一方、アラートメールを受け取り、アクションを起こすのは「人」です。
工場の自動化が進むと、今後、工場内の作業者の数はさらに減ることが予想されます。そうなると、アクションを起こす「人」の数も不足する可能性が出てきます。せっかくアラートを受け取っても、その情報を伝えて設備を停止したり、ロットの次工程投入にストップをかけたりできなければ問題は解決しません。
i-Boardは、人だけでなく、機械や他のシステムを制御するコンピュータも情報伝達のターゲットとして設定しています。人は、見出しが付いた表やグラフで情報を理解しますが、コンピュータにやさしい可視化とは、不要な情報をそぎ落とし、構造化されたプレーンなテキストデータを与えることです。
i-Boardはダッシュボードやアラートメールを使ったユーザフレンドリーな可視化と並行して、コンピュータフレンドリーな構造化されたCSV形式のアラームログを出力します。この情報をMES(製造実行システム)へ取り込み、生産設備や搬送システムへ直接指示を出すことで、直接他のシステムへの情報伝達(人を介さない情報伝達)が可能です。

工場自律化へ:MESとの連携
工場の能力を示す両輪は生産「量」と品「質」です。生産量に関しては、ERPや生産管理システムとMESの連携により、自律化の道筋が見えてきました。
一方、品質に関しては、情報がサイロ化しており、十分に連携や自動化が進んでいるとは言いがたい状況です。
私たちは品質分析ソフトはMESと連動すべきだと考えています。iNDEQSはMESの持つ製造コンテキストを分析に利用することができ、iNDEQSから出力する品質アラートをMESへ返すことで双方向の連携が可能です。
品質データはそのままMESへ連携しても、何の意味もありません。MESと品質管理分析ソフトでは情報の粒度も質も異なります。品質データは管理特性単位や、個々のデータの良否判断に使用しますが、MES側は「この検査項目、検査データが良い/悪い」という情報を受け取っても「設備や人へどんな指示を出すべきか。」を判断できません。一旦品質分析ソフト側で品質を判断し、設備や工程ごとに、「いつ、どんな問題が、どこで、発生しているか、何回発生したか。」という情報に組み替えてMESへ渡すことで、問題の発生した設備、問題の種類、発生回数によって、設備の点検を作業者へ促したり、特定のロットの次工程投入を停止したりする数値判断のベースを与えられます。
一般的なBIツールや分析ツールの導入で品質データをデジタル化しても、結局サイロ化してしまう最大の理由は、データセットから「品質に関するインサイト(洞察)を他システムが扱える構造化データに再定義する。」という作業ができていないからです。
品質データのDXでレベル差が顕著に表れるのは、最新ツールの導入でも、データ処理の速さでもありません。「品質に関するインサイトを明確に言語化できるか。」にかかっています。明確に言語化するメリットは、処理を自動化できることだけでなく、形式知としてのノウハウ蓄積にも直結します。
今後、製造設備や制御システムがどのように進化したとしても、「質」の状態を示す品質データは、自律化工場へ進化する過程で重要なファクターの一つとなることは明らかです。 iNDEQSとMESの連携は、工場自律化に向けた最も現実的な第一歩です。

MESとの連携についての資料ダウンロードはこちらから↓
iNDEQSの製品資料ダウンロードはこちらから↓
