分析結果の解釈

分析結果は単なるデータの統計的な解釈に過ぎず、それ自体に価値はありません。工程に経済効果をもたらすには、分析結果を改善アクションにつなげる必要があります。

しかし何も特別なことをする必要はありません。必要なのは、簡単な仮説とそれを証明するためのデータだけです。改善に繋がる仮説のヒントは普段の工程中に多々見受けられます。例えば、

  • 例1:「1号機と2号機を同じ設定で使用しているのに、なぜか1号機の不良品が多く発生する。」
  • 例2:「午後になると工作機械の加工精度が悪くなる」

経験的にこれらの仮説が正しいと分かっていたとしても、データがなければそれは単なる「噂」レベルの価値しかありません。
データが無ければ原因も分からないし、改善するための根拠となる数字もありません。

例 1 のような場合、マシンごとに検査データを収集することで原因を特定できる場合があります。
例2のような場合は、時間経過とともに変化する温度や工具の摩耗などのデータを製品の検査データとセットで収集、分析することで原因を究明できる可能性があります。

人の意思が介在する売上同行、株価、マーケティング等のデータとは異なり、ほぼすべての工程内品質データは製造設備や検査装置がデータの出所です。機械は気分や気まぐれによって挙動を変えることは絶対にありません。したがって、工程内で特定の傾向を見つけられた場合、自動化された工程ほど再現される可能性が高いのです。

再現性の高い傾向がデジタルデータ上で見つけられたなら、高確率で修正、補正が可能であることを意味し、共有可能な知的財産となります。