品質データ活用への道Vol.3
データ活用基盤準備に必要な事
自動で検査装置や測定機からデータを取り込み、品質データ活用の基盤となるシステム導入を検討する場合、初めにどんな準備が必要でしょうか?
下記は検討段階で、お客様から多く寄せられる技術的な質問です。
- データ収集可能な測定機や検査装置のメーカ、型式
- 対応可能なデータ型やファイル形式
- 対応するOSタイプ、バージョン
- データベースの種類
- PCの推奨ハードウェアスペック
- クラウド対応可能か、オンプレミスのみか
- システムの使用人数制限
- 必要ライセンス数
システム導入前に必ず確認が必要な内容ばかりなので、初めに確認したいと考えるのは当然だと思います。
さて、これらの質問に一通り回答し、最後に来るのが、「この条件を満たせば問題無くシステムを導入できますよね?」という質問です。
残念ながらこれだけでは最も大切な情報が欠けてしまっているので、YesともNoとも答えられないのです。私たちコンサルタント側が最初に確認したい項目は上記のいずれでもありません。また最初の段階で明確な回答が得られる事も稀です。
我々が初期段階で最も重要視するのは、「集めたデータをどうしたいのか?」という事です。
これはモノつくりに置き換えて考えれば納得できると思います。
例えば、
- 〇〇の加工機を10台持っています。
- 〇〇のローダーを持っています。
- 工具は〇〇と△△を持っています。
- CADは〇〇を使って設計していて、CAMは〇〇です。
- 測定機は〇〇と✕✕があります。
このような条件を山ほど並べられても、「これで何でも加工できますか?」と聞かれても答えられる人は居ないでしょう。
「結局、何を作るんですか?」
という質問が真っ先に出てくるはずです。
品質データ活用の第一歩はデータを集める事ではなく、データを作る事です。データを集めただけの状態というのは、言わば加工する部材を機械の前に山積みしただけの状態です。加工して目的の部品や製品を作るためには必ず「図面」が必要です。
データ活用でも全く同じです。データの用途がまさに「図面」にあたる訳ですが、これがなかなか・・出てきません。
始めの話に戻りますが、データを集める検査機器や、PC、サーバのスペック等の情報は必ずどこかに記載されていて、調べればすぐに分かる事ばかりです。他方データの用途についてはデータからどんな情報を読み取り、調査、分析ができるようになれば良いのかをユーザ自身が検討しなければならない項目です。つまり細部まで詰めようとすると、図面を作るような「生みの苦しみ」を伴う作業なのです。
しかし、苦しいからと言って図面無しでモノつくりを始めればどうなるか、結果は明白です。データ活用基盤も目的をはっきりさせずに進めてしまうと、まともなシステムはまず出来ません。
莫大なコストをかけても、希望するようなシステムが出来ないのは、ユーザ部門が用途を明確に説明しない(または出来ない)まま進行してしまう事が主な原因の一つです。
このような問題を防止するため、私たちコンサルタントは通常下記のような手順でユーザの要件を確認しています。
次回は、「データ活用の始め方」をお送りします。
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